海外人材紹介などを手掛けるZenken(東京都新宿区)が3月に実施した海外での就職を希望するインド・ベンガルールの工科系大学の学生へのアンケート調査によると、「日本で働きたい」との回答が91・8%にのぼった。「都市・地方にこだわらない」(50・3%)「地方で働きたい」(9・2%)との回答は合計で59・5%にのぼった。不動産業界では地方の過疎化や人手不足が深刻さを増している。インドの学生は必ずしも都市部にこだわらない人も多い。エンジニア不足に悩む地方の不動産会社にも採用のチャンスが広がっているといえそうだ。
調査はZenkenがインド・ベンガルールなどにある19の工科系大学で海外就職を希望する3年生と4年生を対象に3月23~27日に実施し、1202件の回答を得た。ベンガルールはIT産業の集積地として知られ、インドの「シリコンバレー」とも言われる。
「日本の地方で働きたい」と回答した人に理由を聞いたところ、「自然が豊かだから」との答えが39・6%でトップだった。「地方にも技術力のある企業があるから」が24・8%、「物価が安いから」が16・8%で続いた。「働く地域にこだわりがないから」も13・9%と比較的高い比率となった。「就職しやすそうだから」は4%にとどまった。
「日本の都市部で働きたい」と答えた人に理由を聞いたところ、「最新の技術を学べるから」が44・5%で最も多かった。「会社の数が多く就職先が多いから」(30・6%)、「自己成長のため」(14・5%)が続いた。「都市部で生活したいから」は6%、「給与水準が高そうだから」は3・4%にとどまった。こうした結果から、インド人学生の多くは就職先の技術力を働く場所よりも重視する傾向が強いことが浮き彫りになった。
中小企業基盤整備機構の全国の中小企業の経営者を対象にしたアンケートによると、73%以上が人手不足を感じていると回答。その半数以上が深刻な課題であると答えている。特に都市部でも不足しているエンジニアの採用は難しくなっている。背景には都市への人口集中や地方企業が採用に人材やコストをかけられないことがある。地方企業が有能なインド人エンジニアを採用できれば人材不足の解消や生産性向上につながるとみられる。