ロボットフレンドリー施設推進機構(東京都港区)は5日、最新のロボット活用と「ロボットフレンドリー(ロボフレ)」な環境構築に関する記者発表会を実施した。同日、実際にロボフレな環境下でのロボットのデモンストレーションも実施した。
同機構は、ロボットが円滑に活動できるロボットフレンドリーな環境の整備などを目的に設立された。ロボットの導入へ向けたソリューションを提供し、未導入領域へのロボット実装加速を目指している。人手不足等でロボット導入のニーズの高い企業を中心に、国主導でなく産業界主導で発足した。経済産業省はこれに対し研究開発や実証支援を行い、これまでにロボットのEV連携や扉などセキュリティ連携、物理環境の規格策定などが行われた。
記者会見で、経済産業省ロボット政策室室長の石曽根智昭氏は「今回のデモンストレーションで、複数のロボットが施設の中で共存し活躍する姿を見て未来を感じていただければ」と述べ、同じくロボット政策室室長補佐の板橋洋平氏は「ロボットのサービスに対する人々の寛容さによって技術進歩も加速する」と語った。
続いて綜合警備保障(東京都港区)の橋本和憲氏が、ロボフレな環境の整備によってロボットがセキュリティ扉を自立走行可能になる例を発表。セキュリティレベル1の自動ドアから、テンキー操作が必要なレベル4の扉も通過できるようになる。また、管理方法によって施設内に異種複数のロボットを共存させる例も発表。狭路やエレベーターを設定することで、ロボット同士が衝突せず進行を譲り合う様子を説明した。
このようにしてロボットが活躍する環境が進化するなか、現状のコスト面の課題の解決に向けた活動も行われている。大和ライフネクスト(東京都港区)は、ロボット導入のコストが清掃員の人件費を上回る課題を、ロボット連携システムの開発と改良で解決することを目指す。日鉄興和不動産(東京都港区)は集合住宅の宅配をロボットが代替するサービスを、1棟単位ではなく物件横断的に行う方策を挙げた。
会見の最後に、ロボットフレンドリー施設推進機構代表理事の脇谷勉氏は「ロボットの成長を待つだけでなく人間側がロボットのできる部分に寄り添うことがロボットフレンドリーの主な目的です」と語った。今後はロボットとロボフレの更なる普及に向けて、開発・運用コストの削減とPRによる認知獲得に取り組む。