コリアーズ・インターナショナル・ジャパン(東京都千代田区)は、東京主要5区と大阪市中心部のグレードAオフィス(基準階面積300坪以上の賃貸オフィスビル)を対象とした2023年第4四半期(10~12月期)のオフィスマーケットレポートを発表した。
東京主要5区では、10~12月期のグレードAオフィスの新規供給が合計3万坪を超えた。一方で需要は約5万坪を記録し、需要が供給を上回ったことから市場は堅調に推移した。渋谷では「渋谷サクラステージ SHIBUYAタワー」が高い内定率で竣工。五反田でも「五反田JPビルディング」が良好な内定状況で竣工するなど、新築物件は順調なスタートを切った。
2023年は年間で20万坪の大量供給となったが、2024年は通年で10万坪弱の新規供給が予定されており、安定した市場の状況は継続する見通しである。同社リサーチ責任者の川井康平氏は「2023年竣工の新築ビルのテナント内定が予想を上回るペースで進んだこと、2024年竣工の新規供給量が前年の約半分となることなどから、空室率は引き続き低下傾向が続くものとみています。また前回のレポートから需要の見通しを上方修正しており、2024年のオフィス市況は楽観シナリオにやや傾いたといえます」と話す。東京都心の各主要エリアの中では品川・港南エリアのみ、空室率が前期からわずかに上昇している。これについて川井氏は「このエリアではJR『高輪ゲートウェイ』駅周辺の再開発が2025年の竣工を予定し、空室率も2025年以降に変化が生じるものとみています。一方で『品川』駅では地下鉄線の延伸乗り入れやリニア新幹線の開業と、中長期的にみれば都市インフラの更なる成長が期待されています。瞬間的に新規供給量が増加するものの、エリアとしての評価は底堅いと思われます」と話す。
大阪市中心部では、2024年に前年の2倍以上のオフィス新規供給が予定されており、空室率は上昇に転じる見通し。賃料も緩やかな下落が予想される。新規供給は梅田エリアのほか、淀屋橋や本町といった古くからのオフィス街でも予定されており、空室率の上昇や賃料水準の下落は全体的に進むものとみられる。