ＹＫＫ ＡＰ（東京都千代田区）は、ユニット工法を採用した防火設備対応のカーテンウォール「ＳＹＳＴＥＭＡ ８１ｕ（システマハチイチユー）」を４月３０日に発売予定だ。
新たに開発した「ＳＹＳＴＥＭＡ ８１ｕ」は、中層建築物向けのガラスカーテンウォール。ガラスカーテンウォールとは、建物の荷重を直接負担しない非耐力壁のこと。柱と梁を主要な構造体として、その構成部材にアルミやガラスなどの材料を用いて作られる。
開発の背景には、建設作業員への負担増加がある。建設技能者の減少による人手不足、働き方改革による工期見直しなどが影響し、現場管理者の負担も増加傾向にある。従来、足場が設置できない高層建築物ではユニット工法（工場で組み立てた完成品を現場で取り付ける工法）を採用し、中層建築物では外部足場からの施工を行うノックダウン工法が主流であった。ＹＫＫ ＡＰではこうした課題の解決に貢献するため、ユニット工法を規格品化した中層建築物向けユニタイズドカーテンウォールを開発した。
「ＳＹＳＴＥＭＡ ８１ｕ」は、工場で加工から組み立て・ガラス施工までを一貫生産した完成品ユニットを現場に搬入し取り付ける。クレーンで吊り込み施工するため、外部足場が不要。ガラス施工も無いため、工期を約３分の１に短縮できる。ＳＹＳＴＥＭＡシリーズの特長である「軽快な意匠」や「明快な機能」を踏襲しつつ、耐風圧・気密・水密を確保。都市部で必要になる防火設備にも対応。換気や非常用進入口にも対応し大開口を実現した。
フレームの材質はアルミ。ガラスは開口部が複層ガラスで、腰部は単板ガラス。最大サイズはＦＩＸ窓ユニットの場合、幅１８００ｍｍ×高さ４２００ｍｍ。防火性は大臣認定防火設備で、遮炎性能２０分を有する。販売地域は全国。受注目標金額は２０２４年度１０億円を目指す。
同社は１日、記者向けに新商品発表会を開催した。冒頭には代表取締役社長の魚津彰氏が登壇し「当社では２０３０年までの方針として『地域環境への貢献』、『新たな顧客価値の提供』、『社員幸福経営』の３つを掲げています。今回は新たな顧客価値の提供として、ビル用の窓・カーテンウォールの高断熱化や高付加価値化を取り組みました。これまで住居向けの商品における高断熱化・高付加価値化を行ってきましたが、これまでの知見を生かしつつ、ニーズや要望のあったビル分野でも開発及び販売していきます」と語った。
９月にはアルミ樹脂複合窓の「ＥＸＩＭＡ ５５」の発売も予定。窓の高断熱化で、部屋の寒さや結露などの問題を解決できる製品。集合住宅や医療福祉施設、教育施設などでの採用に適している。