不動産賃貸市況の変化と共に、「築古オフィスビルの空室がなかなか埋まらない」、「テナントの従業員確保を促進する魅力的な物件にできていない」など、難易度を上げつつあるビル経営において、ビルオーナーのテナントサービス強化が進んできている。実際に大手デベロッパーのビルでは、共用部でバーベキューやカラオケなどのテナント体験型イベントが行われているようだ。しかし、資金力・人員に限りのある不動産ファンドやビルオーナー単体では、そのようなテナントサービスの強化は行いづらい。
それに貢献するのが、ラクビル(東京都千代田区)の展開するサービス「ラクビルTeX」。「ラクビルTeX」は、物件オーナー・PM・BMといった物件管理者と、テナント総務・テナント就業者個人を結びつけるコミュニケーションプラットフォーム。代表取締役CEOの大内健太郎氏は「何らかの形でテナント向けサービスを行っているビルオーナーは多く存在しますが、それを行うには人員が必要です。企画して実行するオーナーに専門部隊と潤沢な予算が設けられているケースは少なく、実働部隊となるプロパティマネージャーの労力も掛かります」と語る。
大手デベロッパーが最近開発したSクラスのオフィスビルでは、自社サービスとして就業者向けのアプリなどを設け、サービスを強化するのがトレンドとなっている。しかし、費用は1物件あたり数億円掛かる場合が殆どで、自社サービスの維持管理にも多大な費用及び労力が発生する。
「ラクビルTeX」は月額課金制での利用料のみが支払いとなり、物件内でのテナントサービスの展開を行うプラットフォームとして機能する。物件管理者のツールとテナント管理者が使うWebポータル及び就業者向けの物件LINE公式アカウントを提供。物件の管理者はテナントに対して様々な取り組みの情報発信、アンケート機能を利用したテナントの意見聴取が可能となる。
更にオフィスビル・物流施設などの事業用不動産における、テナントからの各種申請を効率的に管理する承認フロー機能など、不動産運営管理におけるテナント企業とのやり取りを効率化する機能も持つ。またITツールの導入で終わりではなく、コンサルとしての立場からツールの導入・運用をサポートする。大内氏は「テナントを巻き込んだイベントの開催、オフィスビルの飲食店舗のクーポン配布など、様々なテナントサービス拡充が考えられます。立地・建物仕様・賃料水準だけでない事業用不動産の差別化要素として是非活用して頂きたいです」と語った。