ビル業界トピックス

「中野サンプラザ」建替え見直し 物価高騰で開発足踏み 区長が会見で明らかに

 中野区は、JR「中野」駅北口エリアで推進している再開発計画のうち、「中野サンプラザ」の建替えを含む「中野4丁目新北口駅前地区市街地再開発事業」を見直すと発表した。10月24日に開催された定例記者会見で、酒井直人区長が明らかにした。

 同事業は「中野サンプラザ」と隣接する旧中野区役所の敷地約2万3456㎡に、延床面積約29万8000㎡、高さ262mのビルを建設。ホール、オフィス、住宅、商業、ホテルなどからなる複合施設とする計画で、2024年度の着工を見込んでいた。施工予定者は、野村不動産(東京都新宿区)、東急不動産(東京都渋谷区)、住友商事(東京都千代田区)、ヒューリック(東京都中央区)、東日本旅客鉄道(東京都渋谷区)。

 今年7月に市街地再開発事業の施行認可を申請したものの、9月には施工予定者が区に対して物価高騰で建築費が900億円以上超過するため2024年度の着工が困難であると説明。10月11日には施行認可申請の取り下げがあり、今回の計画見直しはこれを受けたもの。区では、「急激な想定工事費の増加により、事業計画の見直し検討が必要になっている。これまでの拠点施設整備のコンセプトや拠点施設に必要な機能などを踏まえ、速やかに施行予定者と事業進捗について協議していく」としている。

 計画見直しにともなう支出の増加について、区は旧庁舎の管理に毎月約200万円、「中野サンプラザ」には同じく約2600万円がかかると説明。区ではこれらの管理費負担を軽減する方策を検討するとともに、施行予定者に起因するスケジュール見直しによる追加負担については、施行予定者に応分の負担を求めていくとしている。

 一方「中野」駅の南北通路と橋上駅舎の工事は順調に進んでおり、西口改札は予定通り2026年12月に開業を予定している。駅から囲町方面への歩行者デッキも併せて整備を進める計画だ。
 昨今の建築費の高騰を背景に、開発を見直す例が増えている。4月には「TOCビル」が計画見直しを発表。江戸川区役所の建替えも工期延長が発表され、計画を見直すとしている。

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