地域の人々をデジタルとリアル、両面でつないでいるPIAZZA(東京都中央区、ピアッツァ)は「まちなかエコシステム」に1・5億円の資金調達を行った。会社が設立して9年が経とうとしている。その中でなぜ資金調達をするに至ったのか、経緯をPIAZZA代表取締役の矢野晃平氏と、広報の倉本弥里氏に話を聞いた。
そもそも矢野氏が地域コミュニティービジネスを始めたのは、自身の子がある事故により看病が必要になったとき、同じマンションの方が声をかけてくれたことによる。普段は挨拶程度だったその人の一声に救われた経験から、街の人と人が出会いつながりを育めるプラットホームの必要性を再確認し同社を共同創業者の吉澤晶子氏と起業した。
ちなみにピアッツァとはイタリア語で「広場」という意味。地域の人々の助け合いが生まれる広場、地域の暮らしを支える広場を大切にしている」と矢野氏はいう。
人々が日々暮らしを営む中で人・物・サービスは一生関わっていくものだ。
「昨今街では様々な課題がある中で、広場をつくり、そこで人との交流をつくっていきたい。『地域の人が集える場所をつくる』ことで衰退していく地域コミュニティーの活性化に貢献したい。そして次世代の地域コミュニティーを形成したい」という思いから立ち上がったのが、「PIAZZA」だった。同社が運営する地域コミュニティーアプリ「まちなかエコシステム」の利用者は30代から40代が中心。このアプリひとつで、リアルタイムに店舗のお得状況や地域のイベント情報が分かる。男女比をみると女性が6割だという。収益は不動産会社や、商業施設等の地域事業者による広告出稿費で成立している。
しかしITの発達や新型コロナウイルスで人との関わりが少なくなっている。どう自分たちが地元と関わっていけるのか模索をしている中で矢野氏は「自分都合でも地域へアクセスできる」システムをつくってみたいと思った。住民たちが地元との関わり合いの機会は決して町内会だけではないのだ。自分の好きなタイミング(自分都合)で関わることができたらいいなと考えたのだった。
ピアッツァはそれだけにとどまらない。住民のいらなくなった家具を他の必要としている人へ融通ができるプラットホームのような役割をしているのだ。
今回の資金調達は二社が引受先となっている。出資した理由として西武ホールディングスの担当者は「ピアッツァは単なるデジタルプラットホームではなく、人々の生活を支えていく新しい社会インフラだ」と評価した。
こうしたシステムを導入することにより、不動産にとっては「街の魅力度」が上がる。街づくりのやり方はひとつではないのだ。