ビル・マンションのリモデル(再構築)や店舗の総合プロデュースなどを手掛けるノットコーポレーション(大阪市中央区)は、大阪市淀川区に立地する「新大阪DTKビル」の共用部のリニューアル工事を実施した。
「新大阪DTKビル」は最寄りの大阪メトロ「西中島南方」駅より徒歩3分、新幹線が発着する「新大阪」駅より徒歩7分に立地する物件で、建物規模は地上9階地下1階。1階の路面区画には店舗が入居しており、空中階は事務所で構成されている。工事が実施されたのは、ビル2階および3階のトイレならびに給湯室である。ノットコーポレーション、ビルソリューション事業部の片岡亮平氏は今回の工事の経緯について次のように話す。
「前テナントの退去に伴って空室が発生したことからオーナー様が共用トイレや給湯室のリニューアルを計画しました。提案するにあたって現地を視察させていただいたところ、トイレはタイル張りで洗面台には大きな1枚鏡が設置されており、内装のカラーは男性用が青、女性用はピンクがベースとなっており、『時代を感じさせる内装』といった印象でした。女性社員の比率が高い企業などは、オフィス選びの際に社員が日常的に利用するトイレの美観や使いやすさを重要視する傾向にあります。そのため当社は女性に支持されるトイレ空間の構築を目指し、提案いたしました。オーナー様は計画段階では当社を含め2社からの提案を募っておりましたが、当社の提案力や対応力などをご評価いただき、今回の工事に至りました」。
ノットコーポレーションでは既存の構造や設備を生かしたリニューアルを得意としており、設計・デザイン部門では多くの女性デザイナーが活躍中。今回は女性目線による提案がなされた。トイレの内装は、石面調のエントランスとの親和性を意識して、落ち着いた空間の中にもシャープさを感じさせるデザインを採用。洗面台のシンクを入れ替え、1枚鏡にフィルムを貼り利用者のプライバシーを確保した。また照明はLEDへの入れ替えを実施し、人感センサーを導入することで衛生面にも配慮している。女性用トイレには小物入れを新設するなど、女性目線の配慮も大きな特徴だ。
昨年9月に同社はオーナーに対しリニューアル計画を提案。数回の折衝を経て工事スケジュールが決定し、本年1月に施工。工事後の共用トイレは「雰囲気が大きく変わった」と、オーナー側の評価も上々とのこと。このバリューアップ提案が、入居検討をしていたテナントの意思決定の後押しとなり、空室となっていた同ビル2階および3階の新規テナント入居が成約に至ったそうだ。ノットコーポレーションでは的確にポイントを捉えた計画立案と、スピード感や柔軟性を持った優れた対応力を武器に、今後も既存ビル・マンションの付加価値向上に貢献するリニューアルを提案する。