バイタル(長野県佐久市)は、小便器センサーの再生キット「REBORN」シリーズを展開している。
1979年に、現・代表取締役の土屋智宏氏の父が創業。ウォークマンをはじめとした電子機器の製造請負からスタートし、1988年に自社製品の開発に着手した。手をかざすだけで水が出てくる「自動水栓」が海外で普及していたことをヒントに、「自動水栓デルマンHR-55」を開発。日本の自動水栓市場の先駆けとして大手コンビニチェーンのトイレや飲食店のバックヤードなどに起用され、累計50万台以上の導入実績を誇る。
自動水栓の製造で培ったノウハウを生かし、2016年より提供を始めたのが「REBORN」シリーズ。近年、オフィスビルや商業施設のトイレで使われる小便器センサーの修理部品は、次々と生産を終了。そのため、多くの機種で小便器丸ごとリニューアルせざるを得ない状況に陥っている。「コストをかけずに修理したい」、「1台だけ取り換えても目立つ」と悩むオーナーは少なくない。
「REBORN」ではTOTOやLIXILといった大手トイレ機器メーカーの終了部品を模作し、既存の小便器の修理部品の代替として提供している。
土屋社長は「小便器は1台20~30万円ほど。『センサーが故障しただけでそれだけのコストをかけたくない』と自動水栓のお客様からご相談いただいたのがきっかけで開発しました。修理依頼を頂いた会社様に既存部品をお借りし、私たちで一から模した部品を作り上げています。現在提供している部品の型は約50種。大手メーカーのほとんどの型番に対応しています」と話す。
壁面に埋め込むタイプの「REBORN α」と小便器の躯体にセンサーを埋め込む「REBORN Z」の2種類を提供。コストは小便器の買い替えに比べ3分の1から5分の1程度。複雑な配線は不要で工事は約1時間。ビルの稼働を止めずに修理ができる。
電池式もあり、電池寿命は約10年と運用コストも抑えられる。施工は北海道から沖縄まで全国を対象としており、開始から7年で交換実績は約2~3万台に上る。
「オーナー様からは、美観の維持や性能についてお褒めの言葉を頂いています。コロナでトイレに対する『清潔感』の意識が高くなったことで、自動水栓と小便器センサーの修理需要はますます高くなるとみています。手洗い場の利用記録を管理できる『スマート自動水栓』など、今後はバックヤード向けの製品も充実させていきたい」(土屋氏)。
「水回りは常に清潔でありたい」と考えているオーナーの強い味方である。