ビル業界トピックス

中小企業、DXの成功要因「従業員の理解を深めた」が半数超に サクサHDが経営者らのアンケート

 サクサホールディングス(東京都港区)が実施した、建設業など中小企業の経営層(経営者、役員)調査によると、DX(デジタルトランスフォーメーション)で成果をあげた要因で最も多かったのは「従業員のDXへの理解を深めた」で、全体の半数以上に達した。一方、「DXがうまくいかない理由」を聞いたところ、「社員のDXに対するスキル・理解不足」との回答が最も多かった。「人材不足」と答えた経営層も多かった。不動産・建設業も今後、従業員のDXのスキルアップや関連人材の獲得が必要となるとみられる。

 サクサは中堅・中小企業のオフィスのDX支援や情報通信システムの開発、製造、販売などを手掛けている。調査は同社が中小企業の経営者や役員を対象に7月21~24日に実施し、218件の回答を得た。回答した企業の業種は不動産、建設業のほか、情報通信、製造、卸売・小売、サービス、金融・保険、宿泊など。

 DXは、データやデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革することだ。業務そのものだけでなく、組織、プロセス、企業文化・風土を変革することもDXと呼ばれる。企業間の競争が激しくなる中、生産性の向上や市場の変化への迅速な対応、新商品・サービスの開発などのために必要とされている。

 アンケートで「実施したDXが成果へのつながったポイント(工夫)は何か」と聞いたところ、「従業員のDXへの理解を深めた」が全体の54・5%を占め、最も高い割合を占めた。次に多かったのは「DX推進の明確なビジョンや戦略を立てた」で42・4%。「全社横断のプロジェクトにした」も33・3%を占めた。DX施策では、明確な戦略を立てた上で、従業員1人1人が協力していくことが成功の秘訣になるという結果になった。「外部から専門のIT人材を採用した」は21・2%だった。

 一方、「DXがうまくいかない理由は何か」(複数回答)を聞いたところ、最も多かったのは「社員のDXに対するスキル・理解不足」(38・5%)だった。「人材不足」が34・6%で続き、人材の能力や有能な人材の獲得が課題となっていることがわかる。

 このほか、「DX推進のビジョンや戦略が不明瞭」「ほかに優先してやるべきことがある」も23・1%で続いた。企業の優先順位が低く、戦略や目標が設定されていないことがDXを通じて生産性向上の妨げになっていることを示した。「予算不足」(19・2%)、「経営層の理解が得られない」(7・7%)、「データ管理の情報セキュリティ確保が難しい」(7・7%)といった回答もあった。

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