トラスト・ファイブ(東京都千代田区)は、現在吉祥寺でスモールビルの開発計画を進めている。ビル名は「(仮称)コレタス吉祥寺Ⅱ」。完成は来年3月末の予定だ。
吉祥寺での開発2棟目「1点もの」で建設
「(仮称)コレタス吉祥寺Ⅱ」の開発は、JR「吉祥寺」駅及び京王井の頭線「吉祥寺」駅から徒歩4分の好アクセス地で進行中。メインストリートである吉祥寺通り(公園通り)沿いに位置し、視認性に優れている。周辺には東急百貨店をはじめ、ロフトやコピス吉祥寺など、大型商業施設が集積する商業ニーズの高いエリア。その様な希少性の高い土地を取得したのは約1年前。吉祥寺での開発実績は2棟目にあたり、1棟目のノウハウや知識も生かした開発となった。
同物件はランダムに配置されたバルコニーが特徴的なデザイナーズビル。地上10階建て、延床面積は700・89㎡(約212・01坪)。1~4階までが店舗仕様で、専有面積は57・05~70・45㎡。一方5~10階までがオフィス仕様で、54・23~70・45㎡。オフィス・店舗の複合ビルだ。多様な広さと形状をした賃貸区画を用意する。同シリーズの強みは、対象地域における「1点もの」として開発することにある。吉祥寺という街に敬意を払い、街に馴染みつつ魅力的なビルとしても存在感を放つ。また同物件は女性目線も意識している。物件開発の設計チームにも複数の女性が参加し、女性から見て魅力的なデザインと、洗練された執務空間や共用部に仕上げる計画だ。
専用部内にバルコニー 同サイズでは希少
代表取締役の南薗浩一氏は「最大の強みである立地環境を生かしながら、意匠性やオフィス空間も考えました。例えば、専用部内に設けたバルコニー。同サイズのビルで、入居テナント専用のバルコニーがあるケースは希少です。入居者の皆様のリフレッシュも兼ねたスペースとして活用できます。フロアによって広さや形状が異なるフロアプランですので、入居テナント様のニーズに応じて選んでいただけます。また路面店横の階段は、2階店舗フロアへ“人を誘うデザイン”として設計され、入居店舗の集客にも繋がる工夫となっています」と語った。
同物件は、これまで展開してきたスモールビルブランド「コレタス」と同様に、ビジネスと商業の双方に適した土地で、利便性・集客性・防災対応力に優れた物件を建設する。オフィスは中小企業やベンチャー・スタートアップ、小回りの良さを求めるイノベーティブな企業などに適している。スモールサイズの新築ビルであるため、オフィス環境改善や大手企業のサテライトオフィス需要にも対応可能だ。
吉祥寺はお洒落な街として認知されている商業性の高いエリア。その一方で住宅地でもあり、職住近接を実現しやすいエリアである。コロナ禍では、「都心部」の英会話教室や英語塾の利用者が減少したと言われている。しかし、吉祥寺では減少どころか増加に転じている。週に何日かでも自宅でテレワークする場合、通勤時間のかからない日に、自宅周辺の教室に通おうというニーズがうかがえる。今回の開発地は、そうしたテレワーカーからも利用されやすい立地である。また本物件のテナントの就業者は、帰りがけに習い事やショッピングなどを楽しむことが可能だ。これらニーズを加味しての開発とあって、郊外や職住近接のエリアに適した開発の参考事例ともなるであろう。今後のビル建築や設計ではフルワークではなく、テレワークや住まいの目線など、多様な視点が重要と思われる。